第57章 15歳の時の輝かしさ

来客はカジュアルな服を脱ぎ捨て、きっちりとしたグレーのスーツに身を包んでいた。だが、あの特徴的な髭面は相変わらずで、見慣れた印象は何ひとつ変わらない。

あの日、生地市場で会った――髭をたくわえた老人。

その髭面の男も諏訪詩織に気づき、目を丸くして指を差した。

「デザイナーさん、奇遇だな」

牧野徹が意外そうに、詩織のそばへ身を寄せて小声で尋ねる。

「知り合いなのか、稲川先生と」

稲川先生――。

まさか、こんなところで繋がるなんて。世界は狭すぎる。

詩織は微笑み、稲川先生へ自分から手を差し出した。同時に徹へ説明する。

「前に生地市場で布を探していた時に、たまたま先生とお会いした...

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