第65章 彼のカードを使い切れ!

諏訪詩織が顔を上げると、長谷川遥斗が砂埃をまとったまま駆け込んできた。柔らかな灯りに照らされた端正な横顔は、どこか薄い灰を被ったように見える。それでも、底冷えする潭のような瞳の冷たさだけは隠しようがなかった。

「詩織、何してるんだ」

玄関を入った瞬間、遥斗は諏訪詩織が長谷川晴香に馬乗りになり、手を振り上げているのを目にした。顔色が一気に沈む。

諏訪詩織は彼の到着を見て立ち上がり、服についた埃をぱっぱっと払った。淡い視線で遥斗を見やる。

「来たんだ。てっきり家に引きこもって、怖くて出てこないと思ってた」

遥斗は彼女の表情を確かめ、声の角を落とした。薄い唇が静かに動く。

「……どうし...

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