第76章 あの日ホテルにいた女

白石清奈の歓迎パーティーは、いかにも盛大だった。集まっているのは城内の名だたる権勢ばかり。

クリスタルのシャンデリアの下でグラスが鳴り、香水と髪の匂いが入り混じる。笑い声が絶えず、ひどく賑やかだ。

諏訪詩織と長谷川晴香が会場に足を踏み入れるなり、顔見知りが次々と挨拶に寄ってきた。

詩織は遠目に、誰かと愛想よく談笑している白石清奈を見つけると、晴香の耳元へ身を寄せて小声で言う。

「お母さん、清奈に挨拶してくるね」

晴香は横目で娘をちらりと見て、こくりとうなずいた。

「勝手にフラフラしないで。遥斗に『ちゃんと見てなかった』なんて言われたくないから」

「うん」

白石清奈もまた、遠く...

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