第89章 怖がったら、殺さないの?

長谷川遥斗は林田美月を連れて現場を離れると、すぐさま車を走らせ、合流地点へ向かった。

牧野徹は遠目に、誰かを抱えて出てくる長谷川遥斗の姿を捉えた。腕の中の女が林田美月だとわかった瞬間、胸の奥から怒りが一気に噴き上がる。

駆け寄った牧野徹は、声を荒げて詰め寄った。

「なんで助けたのがそいつなんだ! 詩織は? 最初からお前がこんなに当てにならねえってわかってたら、俺が中に入った!」

「美月は腹が限界だ。今すぐ病院に運ばないと——詩織は俺が助けに行く」

長谷川遥斗が言い終える前に、牧野徹の耳にはもう何も入っていなかった。

牧野徹は踵を返し、工場のほうへ向かって一気に駆け出す。

その切...

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