第105章

「いいから」私は少し語気を強めた。「あなたが倒れたら、出てきた妹さんの世話は誰がするの。何か食べる物を買ってくるから」

立ち上がろうとしたその時、手術中のランプが消えた。

すぐに扉が開く。

青い手術着を纏った磯部令治が姿を現し、マスクを外したその顔には濃い疲労の色が滲んでいた。

川上陸は弾かれたように椅子から立ち上がり、駆け寄ったものの、極度の緊張で喉が張り付き、声が出ないようだった。

彼はただ、磯部令治を凝視している。

私も早足で近づく。心臓が口から飛び出しそうなほど高鳴っていた。

磯部令治は私たちを見ると、ゆっくりと頷いた。長時間の手術のせいか、その声は少しかすれている。

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