第107章

結局、先に視線を外したのは彼の方だった。何も言わずに踵を返し、ドアを開け放つと、大股で出て行く。

「バンッ」という轟音と共に乱暴に閉ざされた扉に、壁までもが微かに震えているようだった。

私はその場に立ち尽くしていたが、やがて膝の力が抜け、摺り足でソファまで移動して腰を下ろした。

川上陸に転校の話をしに行くのはやめた。

結局のところ、これは後藤辰和が何もないところに波風を立てているだけなのだ。多少の権力があるからといって、他人の人生を思い通りに操ろうとしている。

あの不可解な支配欲には反吐が出る。今回はやむを得ない事情でもなければ、誰が彼になど頭を下げるものか。

彼が私と川上陸の接...

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