第108章

早乙女星奈はちょうどその時、席を立った。テーブルの上のワイングラスを手に取り、顔には体裁の良い笑みを貼り付けている。

だがその笑顔は、どう見ても無理をしているようにしか見えなかった。

しかし、彼女の口から出た言葉には棘があった。

「辰和、寧凪ちゃんを連れてきてくれて嬉しいわ。あなたが彼女を妻として認めたってことだものね」

「寧凪ちゃんも、これからは正真正銘、後藤家の奥様なのだから。昔みたいにわがままを言って辰和を困らせちゃだめよ。二人とも、仲良くね」

私は彼女を見つめながら、ただただ滑稽さを感じていた。

一体誰に見せるための年上風情なのか。

「義姉さん」と呼ばれているからといっ...

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