第11章

 意識が戻ったとき、いちばん先に感じたのは、鼻の奥いっぱいに広がる、あの冷たくてよく知っている消毒液の匂いだった。

 次に押し寄せてきたのは、身体の底から湧き上がる、何かを根こそぎ抉り取られたような、細く鋭い痛み。とりわけ下腹部に集中する、きりきりとした空虚な鈍痛が、意識を失う直前の、あの胸裂ける光景を何度も思い出させる。

 はっと目を見開く。蛍光灯の白さが刺さるように眩しくて、思わず目を細めた。

「赤ちゃん……うちの子は……どうなったの……?」

 自分の声がひどく掠れている。古いふいごみたいにぎいぎいと鳴って、抑えきれない震えが混じっていた。

 怖くて、下腹なんてとても見られなか...

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