第115章

後藤辰和の視点

温水寧凪の規則正しい寝息を感じ取り、俺は目を開けて彼女を見下ろした。

彼女は眠っていた。

眠っている姿には、普段の冷たさはない。横向きに寝ているせいか、唇が少し尖っていて、どこか愛らしく見えた。

思わず、その頬をつねってみた。

「んぅ……」

彼女が微かな声を漏らす。

俺は小さく笑った。

だが、突然何かに苦しむように眉を寄せ、彼女の手が腹部へと伸びた。

「赤ちゃん、ごめんね……ごめんね……ママがだめだったから、守ってあげられなくて……」

瞬間、天国から地獄へと突き落とされた気分だった。あの子を失った痛みが、これほどまでに深く彼女を蝕んでいたとは。

胸元...

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