第119章

新居に引っ越して三日目、後藤辰和から電話があった。

画面に躍るその名前を見て、私は迷わず拒否ボタンを押す。

彼がかけ直し、私が切る。

それを五回繰り返した末、彼からメッセージが届いた。

『温水寧凪、離婚の件だが、直接会って話すべきだと思う』

その文面を数秒見つめた後、私は指先を走らせて返信した。

『話すことなんてないわ。あなたは離婚協議書にサインして郵送してくれればいい。その後、日時を合わせて一緒に市役所へ行くだけよ』

送信から一分も経たないうちに、また彼から着信があった。

今度は通話ボタンを押した。だが、私からは何も言わない。

「温水寧凪……」彼の声はひどく疲弊していた。...

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