第12章

那数枚の薄っぺらい離婚協議書は、真っ赤に焼けた焼印みたいだった。

真っ白なテーブルクロスの上に、じゅっと音を立てて押しつけられたみたいに落ちて、同時に、後藤辰和の顔色までも容赦なく焼き焦がしていく。

時間が、ぴたりと止まったように感じた。

後藤佳奈はびくっと肩を震わせ、持っていたスプーンを皿の上に落とした。カーン、と耳障りな音がやけに大きく響く。

早乙女星奈は、反射的に口を押さえた。けれどその瞳の奥には、抑えきれない歓喜が一瞬だけきらりと走る。

すぐにそれを慌てた色で塗りつぶし、絶妙な加減の「おろおろ顔」を作って、後藤辰和と私のあいだを見比べた。

後藤辰和の視線が、協議書からゆっ...

ログインして続きを読む