第120章

後藤辰和の視点

その夜、俺は少し酒を飲んでいた。

アルコールの勢いというのは恐ろしいもので、理性のタガがいとも簡単に外れてしまう。俺は衝動を抑えきれず、温水寧凪の新しい住所を調べさせ、気づけば彼女の住むマンションまで足を運んでいた。

ドアの前でしばらく躊躇った末にインターホンを押す。どうせ居留守を使われるだろうと思っていたが、意外にも彼女はドアを開けた。

俺は、これでようやく離婚について膝を突き合わせて話せると思った。

だが、彼女は俺を部屋に上げようともせず、そもそも話し合う気など毛頭ないようだった。

その態度はどこまでも冷淡で、頑なだ。彼女の意志は固く、離婚以外の選択肢はないと...

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