第127章

後藤辰和はキッチンの入り口に立っていた。昨日のシャツとスラックスのままだが、ひどく皺が寄っている。

髪は乱れ、顎には無精髭が伸びていた。昨日のような虚ろな目ではないが、眼球には血走った線が浮かんでおり、その双眸だけが妙に覚醒しているように見えた。

あの長い手足で小さなソファに縮こまっていたのだ、熟睡などできるはずがない。

「まだいたの?」

私は反射的にそう尋ねた。声は我ながら冷ややかだった。

「俺も今起きたところだ」

彼の声は相変わらず嗄れていた。

「昨夜は、悪かった」

「いいえ」

私は彼に背を向け、冷蔵庫から卵とトーストを取り出した。

「目が覚めたなら、帰って」

彼は...

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