第128章

後藤辰和の視点

温水寧凪がなぜ、こうも癇癪玉のようにすぐ爆発するのか、今の俺には理解できない。

あそこまで堀内逸弥を庇い立てするなんて。あんな男のどこがいいんだ。

妊娠中の身でイベントに連れ出し、あまつさえハイヒールを履かせている。堀内の奴、寧凪のことなど微塵も大切に思っていない証拠だ。

俺が助け舟を出したというのに、感謝するどころか……。

苛立ちで奥歯を噛み締め、グラスの酒を一気に煽った。

「後藤さん」

振り向くと、そこに立っていたのは松本社長だった。俺は努めて冷静な視線を向ける。

「松本社長」

「後藤さん、『N様』とはどういったお話を?」

俺は怪訝な顔をした。

「会...

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