第137章

「どうしてここにいるの?」

 私は刺々しい口調で尋ねた。

 後藤辰和は冷ややかな視線を外し、私を見るとその瞳をわずかに和らげた。

「会社の社員旅行だ」

 一拍置いて、彼は続けた。

「一人か? 後藤寧々も一緒だと聞いていたが、あいつはいないのか」

「あの子は友達とスキーよ」

 多くを語る気にはなれず、私は短く切り上げた。

「さっきは、ありがとう」

 礼を言って立ち去ろうとしたその時、騒々しい足音が聞こえてきた。

 先ほどの男が舞い戻ってきたのだ。背後にはリゾートの制服を着た警備員を二人引き連れている。

「こいつだ!」

 男は後藤辰和を指差し、勝ち誇ったように叫んだ。

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