第15章

 彼は結局、何も言わなかった。ただ黙ってそこに立ち尽くし、早乙女星奈が私にした仕打ちを、暗黙のうちに認めた。

 胸の奥で、最後にちろちろと残っていた、笑ってしまうほど小さな火種が――ぷつん、と音を立てて消える。

 残ったのは、冷えきった灰だけ。

 その、惨めで息苦しい沈黙の只中で、そっと、肩に温もりが触れた。

 堀内逸弥が一歩前に出て、半ば私を庇うように立つ。穏やかだが一切の妥協を許さない笑みを浮かべて、早乙女星奈を静かに見据えた。

「早乙女さん。人の価値は出自で決まるものじゃありません。寧凪がここに立っているのは、彼女自身の、替えの利かない才覚と実力のおかげです。どこの家の生まれ...

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