第159章

【後藤辰和の視点】

全く手加減をしなかったその平手打ちはまともに頬に入り、ジンジンとした痛みを残した……。

後藤寧々と温水寧凪は、慌てて俺の手を掴んだ。

「お兄ちゃん、気が狂ったの? なんで自分を殴ったりするのよ!」

俺はただただ、温水寧凪の顔を食い入るように見つめていた。

「これが、夢じゃないかと思って」

でなければ、どうして神様はこれほどまでに俺を庇護してくれたというのか。

「後藤辰和、私なら本当に大丈夫よ。飛行機に乗る前に電話があって、少しやり残した仕事ができたから、チケットをキャンセルしたの」

俺は周りの目も気にせず温水寧凪の腕を引き、その体を強く抱き寄せた。

「温...

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