第16章

 私は横を向き、窓の外を流れ去る光の筋をぼんやりと見つめた。心臓は氷水に沈められたみたいに、じんと痺れるような冷たさだけが広がっている。

 下腹部の鈍い痛みは、まだそこにあった。ついさっき味わった喪失と傷を、容赦なく思い出させる痛み。

「離婚」

 その二文字を、私は静かに吐き出した。

 恨みもない。泣き言もない。ただ、死んだように凪いだ決意だけ。

 キイィィッ――

 耳をつんざくブレーキ音が、車内の空気を裂いた。

 巨大な慣性が身体を前に弾き飛ばす。安全ベルトに胸を乱暴に引き戻され、シートに叩きつけられた衝撃で視界が一瞬真っ暗になる。下腹の痛みが、焼け棒を突き立てられたみたいに...

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