第17章

 もし普段の私なら、彼女の芝居めいた泣き方など、冷めた目で眺めていただけだったと思う。

 けれど今は違った。

 ぎらぎらと赤い光を放つ「手術中」の文字を見上げながら、役にも立たないどころか不安を煽るだけの泣き声を聞かされているうちに、胸の奥からぼうっと炎が噴き上がる。

 私は数歩で彼女の前へ進み出て、表情を凍らせ、その偽りの嗚咽を容赦なく断ち切った。

「おばあさまが亡くなってから泣いても、十分間に合うわ。今泣くのは、いくらなんでも早すぎない?」

 私の言葉に、早乙女星奈の泣き声がぴたりと凍りつく。

 彼女は信じられないものを見るように目を見開き、私を仰ぎ見た。まるで私の口から出た...

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