第172章

頭の中でブツンと何かが切れる音がして、手にしていたバッグが床に滑り落ちた。

「おっしゃる意味が分かりません。いなくなった? いなくなったって、どういうことですか」

「今朝、私が仕事に出た時はまだ家にいたのに。どうして突然いなくなるんですか!」

私は完全に理性を失い、頭の中は我が子が消えたという恐怖だけで埋め尽くされていた。

「アリ……」

急な目眩に襲われ、よろめく体を必死に支える。こめかみを押さえ、無理やり自分を落ち着かせようと努めた。

ふと祖母のことが頭をよぎる。

「お祖母様は?」

「お薬を飲まれてずっとお休みになっておられました。先ほどお目覚めになりましたが、私共からはま...

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