第176章

後藤辰和は有言実行の男だ。プロの介護士と栄養士を手配し、病室の外には私服のボディガードを二人配置した。表向きは彼女の安全を守るためだが、実際のところは彼女の一挙手一投足を監視するためである。

病院へ足を運ぶ必要がなくなってからは、私はせいせいした気分で、再び自分のスタジオの仕事とアリと過ごす時間にエネルギーを注いでいた。

坂東月夜は数日大人しくしていたが、突然私に会いたいと言い出した。私に感謝の意を伝えたいのだという。

彼女が単なる感謝のつもりで私を呼んだわけではないことなど、百も承知だ。もしそうなら、とっくに後藤辰和に連絡しているはずだし、こんな絶好の機会を無駄にするわけがない。

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