第178章

後藤寧々は無言だった。

私は彼女を見つめた。

「あの男、誠実じゃないわ。何か裏がある気がする」

後藤寧々はそれでも口を開かなかった。

私は彼女が話し出すのを待った。

彼女は湯呑みを置き、静かな声で言った。

「実は私も、彼はおかしいと思ってるの」

私は一瞬、呆気に取られた。

彼女は私を見返した。その瞳は澄み切っており、恋に盲目になっているような濁りは微塵もなかった。

「彼の勤め先を調べてみたの。小さな会社で、手広く事業をやっているわけじゃない」彼女はそこで言葉を切った。「最近、あの会社がジェード・ガーデンの方面で仕事を受けた記録はないわ」

私は黙って聞いていた。

彼女は口...

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