第181章

【後藤辰和の視点】

温水寧凪の指先を握りしめると、彼女は俺を突き放すことも、その手を引っ込めることもなかった。ただそれだけのことが、無性に嬉しかった。

身を起こして抱き寄せようとした瞬間、背中の傷に激痛が走った。俺は声を殺して痛みを堪え、そのまま彼女の身体をきつく抱きしめた。

寧凪はそれに気づいたのか、俺の肩を軽く叩いた。

「傷に響いたんじゃない? ちょっと見せて」

俺は腕の力を緩めず、彼女を閉じ込めたまま囁いた。

「なんでもない。このまま、少しだけ抱かせといてくれ」

その時、コンコンと控えめなノックの音が響いた。

「失礼します。お薬の交換によろしいでしょうか」

俺は奥歯を...

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