第185章

電話の向こうで二秒ほどの沈黙があり、やがて後藤辰和の声が響いた。氷のように冷たい声だった。

「五十嵐さん、俺に電話とはどういう風の吹き回しだ」

「後藤さん、お会いしたいのにいつも時間がないって断られるから、別の方法を考えるしかなかったのよ」

辰和は苛立たしげに言い放つ。

「くだらん前置きはいい」

「温水寧凪がいなくなったことに、まだ気づいていないの?」

辰和は瞬時に事態を悟った。

「彼女はどこだ? 寧凪に何をした!」

「ふふふ、ただのお客様としてお招きしただけよ。何も酷いことなんてしていないわ」

珠妃は今いる場所の住所を読み上げた。

「後藤さんもご一緒に、一杯いかが?」

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