第190章

彼女はアリが池に落ちるのを見るや否や、一目散に逃げ出した。

だが、予想外なことにアリは自力で水の上まで泳ぎ着き、岸に向かって這い上がったのだ。そして、俺のところへ走ってきて事の顛末を教えてくれた。

書斎のドアを勢いよく押し開け、娘が飛び込んでくる。

「パパ!」

ずぶ濡れになった服を見下ろした瞬間、俺の顔色はスッと凍りついた。

「どうしたんだ」

「悪いおばさんが、アリをお池に突き飛ばしたの!」

アリは顔を上げ、赤く腫らした目で訴えかけてきた。

「パパのお友達だって言ってた。『噴水を見に行こう』って言われたけど、アリが行かないって言ったら、突き飛ばされたの!」

「アリ、泳げてよ...

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