第26章

「堀内さん」

 低く、しかし生まれつきの上位者の威圧を孕んだ声が落ちた。

「そっちの『星火』スタジオに、そもそもこの案件を受けるだけの実力があるのか。俺の時間は高い。無駄にはできない」

 堀内逸弥の腕を疑うだけじゃない。今の一言には、スタジオそのものを見下す色がはっきりと滲んでいた。まるで、星の数ほどいる候補の中の、取るに足らない代替品のひとつでしかないとでも言いたげに。

 堀内逸弥の顔から、いつもの柔らかな笑みがすっと消える。代わりに現れたのは、技術を握る者に特有の、静かな矜持だった。

 彼は後藤辰和の気迫に押されるどころか、一歩踏み出す。ジャケットの内ポケットから小切手帳を取り...

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