第27章

 祖母が縋るように言葉を重ねる。私は唇をきゅっと結び、長いまつげを伏せた。胸の内側では、どうしようもない葛藤が渦を巻いていた。

 そのあいだ中、後藤辰和は一言も発さない。ただ黙って立っていて、何を考えているのかまるで読めない。

 耐えきれずに口を開こうとしたその瞬間だった。彼がすっと前に出る。

「ばあちゃん。起きたばかりなんだ。あまり話すと疲れる」

 低い声が静かに病室に落ちる。

 それから彼は、くるりとこちらを向いた。説明も前置きもなく、私の手首を掴む。その力は決して優しいとは言えないけれど、逆らう隙を与えない強さだった。

「行くぞ。ばあちゃんの好きな滋養のものでも買ってくる」...

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