第28章

早乙女星奈の顔には、いつものように柔らかで品のいい笑みが浮かんでいた。けれど、その視線が私と後藤辰和の、固く結ばれた手に落ちた瞬間――。

その笑みがぴたりと凍りつき、瞳の奥に、隠しきれない嫉妬と憎悪が一閃したのを、私ははっきりと見た。

いつか辰和が、早乙女星奈の本性を知った時にも、あの人は「星奈は君よりずっと純粋だ」なんて言葉を口にできるのだろうか。

「おばあ様、佳奈を連れて会いに来ました」

早乙女星奈は小走りでベッド脇へ行き、いかにも気遣わしげな声を出す。

後藤佳奈も、素直にぺこりと頭を下げた。

「ひいおばあちゃん!」

おばあちゃんは二人の姿を見ると、少しだけ笑みを薄くしたも...

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