第31章

私はわずかに眉根を寄せ、ちょうどいい加減の心配そうな表情を浮かべた。

「星奈さん、具合が悪くて、別の部屋に移ったとかじゃないかしら。あるいはお手洗いとか。探してみましょう?」

私は長島を伴い、いかにも慌てている風を装いながら、二階のいくつかの部屋と洗面所を一つずつ確認して回った。けれど、どこにも早乙女星奈と後藤辰和の姿はなかった。

「テラスにいる……とか?」

長島がおずおずと口にする。

私は頷いた。

「上に行ってみましょう」

視線を庭へ続くガラス扉へ滑らせると、その向こうのテラスに、かすかに人影が揺れているのが見えた。

「外にいるみたいね」

声をひそめて長島に告げ、そのまま...

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