第36章

私は落ち着いてスマホを手に取った。途端に、個室にいる全員の視線がこちらに刺さってくるのがはっきり分かる。

画面をタップして連絡先を開くと、小林美音が思わず背筋を伸ばし、私の手元を覗き込もうと身を乗り出した。

発信音と、個室の中に鳴り響く着信音が重なり合い、妙な「合奏」になる。

まるで死刑執行の合図みたいな音。

――少なくとも、あの人たちにとっては。

けれど私には、耳に心地いい旋律にしか聞こえない。

わざと数秒ほど鳴らしっぱなしにしてから、画面をぐるりと上向きにしてテーブルの上へ置いた。

そこには、堀内逸弥という名前がくっきりと表示されている。

小林美音は、安堵したように長く息...

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