第38章

後藤辰和の視点

 店に着くと、早乙女星奈がひとりでカウンター席に突っ伏して酒を飲んでいた。

 短めのトップスがずり上がり、細い腰が少しだけあらわになっている。手元には、まだ半分ほど残ったグラス。

 音楽バーとはいえ、そこまでガラの悪い店じゃない。だが、数人の男があからさまな下心を込めた視線を、早乙女星奈の身体に這わせていた。

 俺はそのまままっすぐ歩み寄り、自分のジャケットを彼女の背中にふわりと掛ける。

 「ねえ……ダーリン」

 早乙女星奈が顔を上げ、引っ込める間もなかった俺の手をぎゅっと握った。潤んだ瞳が甘く細められる。

 「会いたかったの」

 こちらに言い分を挟む隙も与え...

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