第59章

「逸弥、悪いけど氷水を一杯もらえないかしら」

今はとにかく、身体の芯まで冷えるようなものが欲しかった。

「ああ、分かった」

ほどなくして、堀内逸弥がキンキンに冷えた氷水を持って戻ってきた。

私はグラスを受け取り、少しずつ喉を潤した。冷気が染み渡り、不快感がわずかに和らぐ。

堀内逸弥は私を見つめていたが、その瞳の憂いは晴れるどころか深まるばかりだった。

「医者を呼んでこようか? 診てもらったほうがいい」

「いいえ、大丈夫。家に戻って少し休めば平気よ」

私は首を横に振った。言葉を紡ぐ気力さえ残っていなかった。

堀内逸弥がなおも何か言おうとしたその時、後藤辰和が割り込むように現れ...

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