第60章

温水寧凪の視点

バンッ、という激しいドアの音が響き渡り、私の体は反射的に震えた。

固く閉ざされた扉を見つめ、私はようやく安堵の息を吐き出す。

体内の火照りはまだ続いている。私はもがくようにして身を起こし、浴室へと向かった。蛇口をひねり、冷水を顔に浴びせる。

この不快な熱を、どうにかして鎮めたかった。

だめだ。

これじゃ足りない。

熱い。まだ、どうしようもなく熱い。

私は浴槽に冷水をなみなみと張り、服のままその中へ沈み込んだ。

骨まで凍るような冷たさが、わずかに意識を覚醒させる。けれど心の中は、ドロドロとした苦痛と疲労で埋め尽くされていた。

この茶番は、一体いつまで続くのだ...

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