第69章

後藤辰和は鼻を鳴らし、低く唸るように言った。

「口の利き方も知らないなら、母親の代わりに俺が躾け直してやってもいいんだぞ」

その言葉に脅威を感じたのか、太田香織は貝のように口を閉ざした。

「妹さん、陰口を叩くなら本人のいないところでやりなさいよ」

私はわざと目を開け、口元に冷ややかな笑みを浮かべた。

「目を閉じていただけで、耳まで塞いでいたわけじゃないんだから」

車内は重苦しい沈黙に包まれ、太田香織の荒く急いた呼吸音だけが響いていた。

車が停車すると、私はすぐにドアを開けて飛び降りた。

学内は迷路のようで、右往左往しても自分の教室が見当たらない。

そうこうしているうちに、無...

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