第72章

後藤辰和の視点

温水寧凪が行方不明だと知った瞬間、心臓をナイフで抉り取られたような激痛が走り、体の震えをどうしても抑えることができなかった。

物心ついてから今日まで、私はこれほどまでに、誰かを失うことを恐れたことはなかった。

私は無理やり冷静さを保ち、ボディガードを手配し、学校の警備員にも校内をしらみつぶしに探させた。隅々まで、一箇所たりとも見逃さないように。

6207教室の前に辿り着き、力任せにドアを押したが、びくともしない。

学校側は、そこは廃教室であり施錠されているはずがないと言っていた。何かがおかしい。私の瞳から温度が消えた。一歩下がると、渾身の力でドアを蹴り上げた。

...

ログインして続きを読む