第75章

私たちはしばらくの間、言葉もなく抱き合ったまま立ち尽くしていた。

そこへ、治療を終えた早乙女星奈が処置室から出てきた。私たちの姿を見ると、彼女は瞳を潤ませて訴える。

「辰和、頭が痛いの……」

彼女は包帯を巻かれた頭を押さえ、いかにも可哀想な様子を見せる。

後藤辰和は彼女を一瞥した。

「処置は終わったんだろう? まだ痛むのか?」

「うん、痛い……。お医者さんのところまで、一緒に来てくれない?」

早乙女星奈は彼の顔色を窺いながら、弱々しく続ける。

「また気絶して、倒れちゃったら怖いから……」

後藤辰和は私を見て、それから今にも倒れそうな早乙女星奈に視線を移した。逡巡する彼に、彼...

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