第98章

車のドアが開き、後藤辰和の補佐が目を引くほどの深紅の薔薇の花束を抱えて現れた。

彼は迷いなく私の方へ歩み寄ると、私の前で立ち止まり、有無を言わせずその巨大な花束を腕の中に押し付けてきた。

「何するのよ?」

顔が埋もれそうなほどの薔薇を抱えさせられ、鼻をつくほど濃厚な香りに、私は眉をひそめた。

杉浦補佐は愛想のいい笑みを浮かべ、恭しく言った。

「後藤が奥様のためにと、特注させたものでございます」

「後藤辰和、何のつもり? 気が狂ったの?」

周囲の視線を感じ、気まずさで頭皮が痺れるような感覚に襲われる。私は声を潜めた。

「よりによって学校で、こんな茶番を演じるなんて」

あまりに...

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