第160章 廃人

鈴木七海との付き合いは数年になるが、吉田陽斗にとってこの事実は、まさに青天の霹靂だった。

もしこの一件が世に出れば、業界全体が再び大きく揺れ動くことになるだろう。

「吉田さんは、口外しませんよね?」

小林大雅が、横目で吉田陽斗を一瞥する。

「ええ。吉田さんは言わないわ」

吉田陽斗の人柄については、鈴木七海もそれなりに信頼を置いているようだった。

小林大雅は軽く頷くと、それ以上は何も言わず、鈴木七海の車椅子を押してその場を後にした。

二人が去った後も、吉田陽斗は衝撃から立ち直れずにいた。

何しろ、聖生グループといえば世界トップ500に名を連ねる巨大企業だ。わずか五年で国内の大手...

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