第18章 中村社長はどこに行った

佐藤奈須は口角を上げ、どこか意味ありげな笑みを浮かべた。

彼の切れ長の瞳は深淵のように漆黒で、底知れず、まるで人を引きずり込むかのようだ。

「彼はまだ昨夜のことを追及しているのか?」

何気ないふうを装って、彼は尋ねた。

鈴木七海の表情は平然としており、波一つ立っていない。

「あなたには関係ない」

彼女の答えは簡潔で直接的、その口調はよそよそしい。

彼女のスタンスは明確だった。彼女と佐藤奈須は単なるビジネスパートナーであり、仕事以外の私的な話題を彼と交わすつもりは一切ない。

佐藤奈須は意に介さないという表情を見せる。

「OK! 君がそう言うなら。それで、鈴木さんはこれから何か...

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