第188章 送り込まれたスパイ

鈴木七海は、嫣然と微笑んだ。

このところ星辰グループの案件に忙殺され、彼の存在など記憶の彼方へ追いやられそうになっていた。だが、こちらから出向く手間が省けたようだ。向こうからのこのこと現れてくれたのだから。

鈴木七海はデスクの上の契約書を手に取り、たおやかな笑みを浮かべて口を開く。

「御社は医薬品と医療機器産業が主力だそうですね。だからこそ今回は、小川さんとの提携を望んでいらっしゃるのでしょう?」

小川和真のこの分野における研究成果は、海外でも指折りだ。莉奥拉(リオラ)のような会社が、喉から手が出るほど欲しがるのも無理はない。

彼女は視線を転じ、バルを見やった。

バルは、彼らの会...

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