第19章 彼はあなたを食べる

その頃、鈴木南はリゾートの客室にある大きなバスタブに身を沈め、静かに目を閉じていた。

心地よい音楽が、部屋の中にゆっくりと流れている。

この情景は、まさに至福そのものだ。

鈴木七海はきっと、自分が友人グループに送ったあの投稿を見たに違いない。

今頃、彼女は怒りで顔を歪ませていることだろう。

そもそも彼女が中村健に付きまとい、どうしても一緒にリゾートでの商談に来ると言い張らなければ、こんな絶好の機会は掴めなかったのだ。

ピコン、と携帯が鳴った。

彼女は目を開き、泡にまみれた白い腕を伸ばして洗面台の上の携帯を掴むと、メッセージを開いた。

画面には、数枚の写真がはっきりと映し出され...

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