第229章 私は彼女が好きだ

鈴木七海の瞳は冷ややかで、その微笑みには氷のような冷たさが宿っていた。

「松本暉、よく考えてみて。私と小川和真がどういう立場にいるか。私たちが本気で一人を庇おうとして、それが難しいとでも思う?」

松本暉はハッとして息を呑んだ。

彼は危うく忘れるところだった。鈴木七海も小川和真も、上層部の人間であることを。特に小川和真は天才的な科学者だ。彼らが鶴の一声を上げれば、一人の汚名を返上するなど造作もないことなのだ。

大局の前では、個人の利益など常に譲歩を強いられる。

彼らが京藤宏史に接触しさえすればいい。そうすれば彼が上に報告し、上層部が直接中村グループに介入してくる。山下真衣の無実を証明...

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