第267章 君が楽しいならそれでいい

室林永子は詰め寄った。

「林原宏、自分の立場をよく弁えることね。誰もあなたに手出しなんてできない。この室林家が許さない限りはね」

彼女にとって、室林家という後ろ盾は絶対的な切り札であり、誰にも揺るがすことのできないものだった。

婚約した当初から今まで、それは変わらない。彼女が頷かない限り、彼女の所有物を奪える者など存在しないのだ。

その言葉を聞いて、林原宏の顔色が微かに変わった。彼女の顔に視線を落とすと、それまで浮かべていた穏やかな笑みは完全に消え失せていた。

「室林永子、俺たちが本当に釣り合っているとでも思っているのか」

彼が言い終わる前に、室林永子はその言葉を遮った。

「釣...

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