第277章 中村グループを手放す

車椅子に座る父の姿を見つめる。両の鬢には白いものが混じり、ずいぶんと老け込んだように見えた。

そんな父を前にして、大声で喚き散らすことなど到底できなかった。長年、自分を深く愛し、慈しんでくれた父なのだから。

彼女は中村陸の手をそっと離し、一歩、また一歩と中村信の前へと歩み寄った。

身を屈めて父の手を優しく握りしめる。胸の奥から込み上げる酸鼻な思いを堪え、静かに口を開いた。

「お父さん、全部知ってるよ」

その一言に、中村信の心は大きく沈み込んだ。

知っている?

何をだ?

一瞬、彼は呆然とした。娘にどう返すべきか分からないのか、口をわずかに開いただけで、声は一向に発せられなかった...

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