第282章 間違った愛

塩浦家はL市でも名高く、その地位と背景は誰もが容易に揺るがすことのできるものではない。彼にそう問い詰められ、その場にいた全員が沈黙した。知らないのはもちろんのこと、たとえ知っていたとしても、前に出て言う勇気など誰にもなかった。

塩浦正美は冷ややかに言った。

「それに、俺は白崎と何度も仕事をしているが、彼が躁うつ病だなどと聞いたことは一度もないぞ」

白崎敏也は森下美香に支えられて立ち上がり、苦痛に顔を歪めた。

「塩浦が彼とそれほど親しくないなら、知らないのも無理はない。彼は幼い頃から病弱で、後に交通事故に遭ってから躁うつ病を患ったのだ。毎月、場所を問わず一、二回は発作を起こす」

明ら...

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