第283章 結婚の陰謀

あの時、上村愛美は皆の注目を浴びる中、彼のそばに駆け寄り、抱きしめて慰めたかった。だが、様々な理由から葛藤の末にその場に立ち尽くし、ただ一瞬も瞬きもせずに彼を見つめることしかできなかった。

塩浦正美にはどうしても解せなかった。上村愛美のようにサバサバした人間が、どうして感情に囚われてしまうのか。

しかし今の彼女の様子は、どう見ても白崎政光を愛している証拠だった。

そう思えば思うほど、塩浦正美は上村愛美が割に合わないと感じた。

彼は独り言のようにつぶやいた。

「誰のことも好きになるなよ。自分自身を愛していればそれで十分だ」

その頃、病院では緊急の催吐剤が手配され、白崎政光の胃の内容...

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