第297章 偽物のファン

A大はL市にあり、D大は別の都市にある。

今回、繁野谷智は考える間もなく、大声で叫ぶように答えた。「A大だ、あんたが通っているのはA大の演劇科だろ!」

深浦由理は手に握ったペンで、手帳にぐっと力強く線を引くと、さらに問いを重ねた。「私が契約している事務所は、天之語メディア、それとも夢幻エンターテインメントのどちらですか」

天之語も夢幻も、ともに市内の芸能事務所である。だが、天之語が主にマルチタレントの育成に力を入れているのに対し、夢幻は人気若手女優ばかりを輩出している。

当然ながら、繁野谷智に両者の違いなど分かるはずもない。しばらく口ごもった後、探るように答えた。「夢幻エンターテイン...

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