第334章 嫌悪

そうは言っても、白崎政光の瞳には底知れぬ寂寥感が漂っていた。

佐藤奈須も当然、親友のそんな心情を見抜いていた。数秒の沈黙の後、彼は手を伸ばして白崎政光の肩を叩いた。

「起きてしまったことは、もう取り返しがつかないさ。本当に上村愛美を取り戻したいなら、諦めずにやり抜くんだな」

友人として、彼に言えるのはそれくらいだった。所詮は傍観者に過ぎず、当事者の複雑な感情まで完全に理解することはできないのだから。

白崎政光は首を横に振っただけで、何も答えなかった。ただ、タバコを深く吸い込み、ふうっと煙の輪を吐き出した。

彼の周囲には煙が立ち込め、まるで深い霧の中に身を潜め、進むべき道を見失ってし...

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