第344章 塩浦正美の贈り物

弟はこれまで数々の恋愛を経験してきたが、別れ際はいつも円満で、上村愛美と白崎政光のように泥沼化することなど一度もなかった。

どうして色恋沙汰でここまで意固地になる必要があるのか、彼には到底理解できない。

そんな弟の瞳に浮かぶ戸惑いを察してか、上村愛美は彼を責めることなく、淡々とこう言い残した。

「白崎政光が目を覚ましたら、伝えておいて。二度と私の前に現れないでって。そうじゃなきゃ、彼が一生見つけられない場所へ行くわ」

そう言い捨てると、上村愛美は塩浦正美と共にその場を離れていった。

弟は必死に力を振り絞り、ようやく白崎政光を床から引きずり起こした。

その時、橋本慎吾が個室から姿を...

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