第372章 森下美香が現れる

「鈴木七海を潰すのって、そんな簡単じゃないと思うんだよね。もし何年もかかったら、あたしがずっとあなたのために動くなんて無理でしょ?」

「こうしない? 最後に一件だけあたしが片づける。その代わりまとまった金をくれて、そしたら二度と関わらない。どう?」

中村信は鼻で笑った。

鈴木南が、ずいぶん図太くなったものだ。

まさかこの男に値段を吹っかけてくるとは。

中村信は床まで届く窓の前に立ち、夜景をじっと見下ろす。

中村家の噴水のそばでは、娘の中村楓が中村陸に抱きついたまま、甘い空気をまとって離れようとしない。

その光景を黙って眺めながら、声だけが底冷えするほど暗かった。

「勘違いする...

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